投稿者:落合智貴
ここ数年はコロナ禍やウクライナ戦争、安倍元首相の銃撃など、年の初めには思いもしなかった出来事によって世の中の状況が大きく変わることが続いています。2023年も予測不能な事件が起こるかもしれませんが現状から考えられるポイントに目を向けたいと思います。
私が注目するポイントは「インフレ」と「サプライチェーン」です。
まずは「インフレ」について。2022年12月の消費者物価指数は前年同月比で4.0%上昇となりました。これは41年ぶりの事だそうです。企業物価指数も前年同月比10.2%アップで、22ヶ月連続で上昇。資源高は2年前からじわじわと進んでおり、ウクライナ戦争で拍車をかけたと言えます。私の実感では配管材や住宅設備機器でも前年比20%~50%ほど値上がりしている製品群も多いですので今後さらに物価指数が上昇していく可能性が高いと考えます。
岸田内閣と経団連は賃金アップが必要であるとの認識を共有しています。現状では消費者物価指数と企業物価指数には6%以上の開きがありますので、ひとまず企業は利益を削って価格上昇をギリギリに抑えているといったところでしょうか。今後、賃金アップの原資を確保するためには企業は価格転嫁を促進していかなければならないと思います。
バブル崩壊以降の日本経済は30年にわたり経済成長が止まりデフレに悩まされました。この間「値下げしないとお客様が買ってくれない」というマインドが強かったと思いますが、2023年以降「賃上げをしないと社員が働いてくれない」という新たな悩みが増えてくるのかもしれません。
二つ目は「サプライチェーン」です。コロナ禍以来、ベトナムや上海におけるロックダウンなどの影響で部品調達や製品輸入が滞り、供給不安定の状況がいまだに続いています。バブル崩壊以降の円高を背景に日本の製造業は安い人件費を求めて、中国・タイ・ベトナムなどと製造拠点を移していきました。しかし円安の顕在化や日本の相対的賃金の低下、サプライチェーンリスクの高まり、経済安全保障の観点からも製造業の国内回帰が必要との声が高まっています。半導体工場が熊本で建設、あるいは第二の候補地が検討されていることに象徴されるように「製造業の国内回帰」は日本経済復活の大きなきっかけとなるのではないでしょうか。
いずれにしても平和あっての生活や企業活動です。
ウクライナ戦争の一日も早い終戦とコロナの終息が多くの皆さんの願いではないでしょうか。