常勝チーム の 作り方

投稿者:落合智貴
今年のお正月の学生スポーツは波乱が続きました。
1月2日の全国大学ラグビー選手権準決勝で、9連覇中だった帝京大学が天理大学に敗れました。
また、箱根駅伝では4連覇中であった青山学院大学が往路で6位となり、復路では追い上げたものの総合2位に終わりました。
帝京大ラグビー部の岩出雅之監督も青学大駅伝の原晋監督も常勝チームをどうやって作り上げていったのかを著書で記しています。

帝京ラグビーの岩出監督は「常勝集団のプリンシプル(日経BP社)」のなかで、昔ながらの軍隊的な体育会の精神論を見直すことから始めたことを説明しています。
心理的手法・科学的手法を用いて組織構造を変革し、自律型成長組織を作っていきました。
特に印象的なのは掃除や雑用は1年生ではなく4年生の仕事であるというところです。何をすればよいのかわからない1年生には余分な精神的・肉体的負担を与えず、また上級生は下級生の模範となるような行動を取ろうとします。自分たちが上級生に受けた恩を後輩に返してあげる。こういう雰囲気で下級生は上級生に対し、あこがれやリスペクトの気持ちを持つようになると共に、社会人として必要な精神も得ていきます。
帝京・青学
一方青学大駅伝の原晋監督は“権限移譲“と“目標管理“に重点を置いています。
一般的に学生スポーツの監督は、学生時代・社会人でスター選手だった人がそのまま監督に就任するケースが多いようです。しかし原監督は営業マンとしての社会人経験を持ち、従来のスポーツ業界の発想にはない感覚を持ち込みました。
「フツーの会社員だった僕が青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉(アスコム)」ではチームをつくる4つのステージがあると述べています。
1、命令型 2、指示型 3、投げかけ型 4、サポーター型
その組織のレベルが今どこにあるかによって接し方が違うということです。
青学駅伝チームには各学年に学年長がいて、監督やコーチの意向を学生に伝える役割があります。監督は出来るだけ答えを出さずに学生が考えるのを待つようにしています。考える集団をつくるには待つことが大事であると述べています。

帝京大の岩出監督も青学大の原監督も、共通するのは、上からの指示で動くのではなく、自らが考えることができる組織づくり。学生が「人として成長する」ことに重点を置いていることです。監督自身の名誉やお金のためではなく、学生の人間成長を一番に考えるからこそ学生もモチベーションを保ち頑張り続けられるのだろうと思います。