台湾のデジタル大臣 オードリー・タン

投稿者:落合智貴
台湾は新型コロナ対策として最も成功した地域と言われています。
2003年に流行したSAASの教訓を生かしたのが大きな要因です。
武漢で新型コロナが発見された直後に中国本土からのすべての団体観光客の入国を禁止しました。2020年1月20日にはCECC(中央感染症指揮センター)を設立し防疫対策の体制を構築しました。CECCは毎日記者会見を行い、国民に感染症の知識を広めていったそうです。

オードリータン
オードリー・タンは現在39歳で、台湾のデジタル担当政務委員です。
コロナ対策でマスクの在庫管理システムを構築したことで一躍有名になりました。
自身初の著書「オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る」は日本の出版社とのオンラインによる3か月のインタビューを本にまとめたものです。
“パソコンに詳しいトランスジェンダー”というイメージしかありませんでしたが、これを読むとオードリーが単なるITやAIの専門家ではなく、政治的なセンスも持ち合わせていることがわかります。
大変平和的な人物で、人間に優しく、世の中を良くしていきたいという思いが感じられます。

オードリーが導入したものに「vTaiwan」というオンラインで法案を討論する仕組みや、「Join」という国民参加型のプラットフォームがあります。
これらは誰でも政策提案を出すことができ、請願に必要な5000人の署名が集まれば当局は政策に反映させる義務が発生します。実際に16歳の女子高生が提案したことにより、プラスチック製ストローを全面的に中止する政策が決定されました。これはオードリーが目指す「デジタル民主主義」の一端であり、政府と国民が双方的に議論できる仕組みとして、間接民主主義の弱点を克服するものです。
日本でもデジタル庁が開設される予定です。
マイナンバーの活用やハンコの廃止などが議論されていくと思われます。
そういった手続き論にとどまらず、「デジタル」と「民主主義」をどう組み合わせていくのかといった視点など、台湾に見習うべき点は多いと思います。