投稿者:落合智貴
昨年(令和6年)10月に石破茂氏が首相に就任しました。
衆院選での自公過半数割れを受けて、野党の提案にも積極的に議論する姿勢は政治として健全に見えます。
石破首相は1月24日の施政方針演説で「楽しい日本」を目指すと表明しました。
この言葉は堺屋太一氏の遺作『三度目の日本』を引用したものです。
堺屋氏は通産省で1970年の大阪万博を企画するなどを経て作家となり、小渕・森内閣において経済企画庁長官などを務めました。
“団塊の世代“という言葉の生みの親としても有名です。
この本で堺屋氏は、幕末以降の明治時代は「強い日本」を目指した。1945年の敗戦後は「豊かな日本」を目指した。今回は30年の経済低迷を抜け「楽しい日本」を目指すべきだ、と述べています。
幕藩体制が崩壊した1860年代と太平洋戦争に敗れた1940年代の二つの敗戦は“価値観”が大きく変わったことを意味する。今回の3度目の敗戦では、戦後の価値観である、倫理・美意識・経済の仕組み・社会の成り立ちが通用しなくなるであろう。「楽しい日本」にするためには、まず官僚主導を止め、政治主導もしくは民主導にする必要がある。官僚主導の崩壊を促進する要因の一つは、ロボット・ドローン・自動運転・ビックデータなど『第四次産業革命』ではないか、との主張です。
最後に、黒澤明監督の『生きる』という映画で描かれた、“人生に何が遺(のこ)せるか”というテーマを上げています。ガンに冒された市役所の職員が“人の役に立つ仕事をしよう”と公園を作ろうとするお話です。
経済的な裕福さも大事だが、満足感・達成感の得られる“楽しみ”を個々人が見つけていくことがこれからの日本に必要ではないかと感じました。