製販懇談会2023秋(後半)

投稿者:落合智貴
10月3日に開催された製販懇談会の後編です。
3社の発表をご報告いたします。

●荏原製作所
GDPとポンプの受注高はリンクしている。2023年は1.5%増の見込み。インバーター不足は解消しつつあるが、製品納期の正常化にはもう少し時間がかかる。SDG‘Sに取り組んでおり、ポンプのインバーター搭載率がまだ20%なので、省エネの余地はまだある。インバーター内蔵PMモーター(IVM)で更なる省エネ化を図りたい。

●ダイキン工業
業務用空調機は猛暑だったにもかかわらず101%にとどまる。節電ニーズは高まっており、15年前の機種に半分の電気代で済む最新機種への買い替えを勧めてほしい。ルームエアコンは上期92%。ZEH(ゼッチ)の普及を促進。寒冷地における高暖房エアコンの需要取り込みを図る。エコキュートの更新需要が好調。関西地区に生産拠点が偏っていたが、茨城工場建設が決定した。

●LIXIL
有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)が全国各地で検出されて人体への影響が懸念されている。LIXILの浄水カートリッジは80%以上除去できることが第三者機関で確認されている。災害時に1Lで洗浄可能なレジリエンストイレの普及に取り組んでいる。

【新宿御苑に設置されているLIXILのレジリエンストイレ】
LIXILレジリエンストイレ

製販懇談会2023秋(前半)

投稿者:落合智貴
東京管工機材商業協同組合の製販懇談会が10月3日に明治記念館で開催されました。
メーカー様7社の発表がありましたが、まずは管材系の4社の発表をご報告いたします。

製販懇談会2023.10.3
●オーエヌ工業
SU管用継手「ナイスジョイント」はステンレス継手のシェア70%を占める。この度ナット緩み止め機能を強化した「ナイスジョイントX」を発売した。面間寸法や施工方法は従来品と全く変わらない。ナットに青いルーズストッパーが内蔵されており、一度締め込むと青いルーズストッパーが見えなくなり、ナットが緩まない構造になっている。旧品本体にナイスジョイントXの袋ナットを接続することも可能。

●アロン化成
①災害対策 ②気候変動対応 ③インフラ老朽化対策 に重点を置いている。マンホールトイレ設置の推進やゲリラ豪雨対策商品、布設管路の老朽化対策 などに力を入れている。

●大和バルブ
2022年度のバルブ生産額は3%アップし過去最高となる。これは数量増加ではなく、原材料高騰による販売単価アップが要因。ステンレス弁や自動弁が好調。大型物件の本格化はこれからで半導体関連の需要にも期待できる。

●JFEスチール
鋼材需要は横這いで海外は緩やかに回復基調にあり、鉄鉱石は値上がりの見込みであるものの、中国の不動産不況も懸念されている。
軽量鋼管はSGPの20%減の重量でグルービング施工の商品。
CO2 排出削減技術を使ったグリーン鋼材“JGreeX”を供給しているが鋼管への実績はまだ。

落合住宅機器の歴史を辿る【昭和30~33年度(1955~1958年度)】

投稿者:落合智貴
昭和28年の12月に㈱落合鉛工業所(おちあいなまりこうぎょうしょ)から落合鉛工㈱(おちあいえんこう)に社名変更し、以来昭和45年3月まで16年半の間この社名を名乗っていました。
今では鉛は人体によくないということで、給水管には使われていませんが、当時の水道管は給水・排水共に鉛管が主流でした。
現在では管工機材という言葉であらゆる水回り商材を総合的に扱う販売形態が主流になっています。
しかし昭和20年代当時は鉛管屋、鉄管屋、バルブ屋、水栓屋、ポンプ屋の様に専業店に近い形が多く、販売店のお互いで商品を売り買いしていたようです。
販売の資格が東京都水道局より与えられ、当社も鉛管をスタートに各種指定販売店の資格を取りました。

昭和30年7月 東京都水道局指定鉛管販売店
昭和31年1月 東京都水道局指定銅管・ビニール管販売店
昭和31年4月 鉄管・継手類、バルブコック販売開始
昭和32年5月 水栓器具類及付属品販売開始

水道局に商品を持っていき、商品に認定の刻印を打ってもらうという仕事もあったそうです。
当時の車はオート三輪。
パイプを積むと車がひっくり返ることもあったそうです。

戦後の混乱から少し落ち着き、給水や排水のインフラを早く整えなければならない。
そんな時代の中で、現場に重たい鉛管や水道資材を運ぶ仕事は肉体労働の大変な仕事だったでしょう。
鉛管の専業販売店から管工機材の総合販売店へ移行し、売上を拡大していく。
それが当時の経営課題だったのだと思います。

オート三輪
   【昭和30年代の日本】

都立城南職業能力開発センターで出張授業(後半)

投稿者:落合智貴
9月22日に行った、都立城南職業能力開発センター配管科への出張授業の後編です。

クボタケミックス
CK金属・オンダ製作所に続き、クボタケミックスさんに登場頂きました。
火災の際に延焼を防止するための緑色配管材である「KC耐火ビニルパイプ」と、保温材付きの白色の配管材である「KCドレンパイプ」をカットサンプルなどを見せながらご説明頂きました。そのあと青い電気融着式のポリエチレンパイプ「スーパータフポリ」の施工を実演頂きました。パイプ接続部分のスクレープ作業、アセトンによる汚れのふき取り、クランプの設置、電気の通電といった流れを体感頂きました。

落合講義
最後は教室に戻り、私が講義いたしました。
塩ビ管・鉄管・銅管・ステンレス管・樹脂管など幅広い管種の大まかな説明から、支持金具・接着剤・保温材・水栓金具・バルブ・ダクトなど周辺の資材についても大まかにご説明いたしました。

城東校に続き、城南校でもこの特別講座は年二回の定例講義になりそうです。
ご協力いただいたメーカー様に感謝申し上げるとともに、受講された生徒さんが卒業後に設備業界で活躍されることをご期待しております。

都立城南職業能力開発センターで出張授業(前半)

投稿者:落合智貴
10年ほど前から足立区綾瀬にあります都立城東職業能力開発センターで出張授業をしておりますが、今回初めて品川シーサイド駅近くにあります都立城南職業能力開発センターの配管科で授業を依頼されました。
城南校の配管科は20年前に私自身生徒として6か月通った学校です。
建物の雰囲気や外部講師の先生方もあまり変わっておらずホッとする空間ですが、この20年の間に配管材料は進化を続けています。
今回のご依頼は城東校と同様、日頃の訓練では経験していない、高機能な配管材料をレクチャーしてほしいとのことです。
架橋ポリエチレンや電気融着式の青いポリエチレン管などは20年前にはまだそれほど普及していませんでした。
今回は城東校で参加いただいているメーカーとは違う3社に来ていただきました。

シーケー金属
一社目はシーケー金属さんです。
ねじ込み継手で有名なシーケー金属ですが、リケンとの合弁会社を作り生産体制を統合しているため、日本の鉄管継手メーカーではプロテリアル(旧日立金属)に並ぶ大きな勢力です。
今回は黒・白・コート・管端防食継手・埋設用継手・シール材不要製品・ネジ込み不要のメカニカル継手などを見せていただいたほか、グルービングによるハウジング継手の説明も行いました。またステンレス配管に使用するプレス式・拡管式・ワンタッチ式の継手もご説明頂きました。

オンダ製作所
二社目はオンダ製作所さんです。
架橋ポリエチレン管用の継手には「内面シール構造」と「外面シール構造」があります。
「内面シール構造」はパイプの外キズによる漏水リスクが少ないというメリットがある反面、流量損失が大きいというデメリットがあります。一方「外面シール構造」は反対にパイプの外キズに弱く、流量損失が小さいという特徴があります。
オンダ製作所では「外面シール構造」を推奨しており、特に『Revos』シリーズでは継手内面のカーブを緩やかにすることでより流量損失を少なくする高付加価値商品です。リフォームの場合、流量損失が大きい継手を使うと、以前よりも水量が弱くなったとお客様からクレームになることがあるそうですが、『Revos』を使えばそのリスクは減らせます。
今回の授業では「内面シール」「外面シール」「REVOS」のそれぞれエルボを10個使ったデモ配管に水を流し、水量がどれだけ違うかを生徒さんに体感して頂きました。