投稿者:落合智貴
トップの判断違いによって、大きな組織でも崩壊する可能性があると考えさせられるのが東芝の凋落です。
東芝は社員20万人を擁し、経団連会長を輩出するなど日本の名門企業と言える存在です。
大鹿靖明著「東芝の悲劇(幻冬舎)」では歴代社長について、元広報室長の次の言葉を紹介しています。
“模倣の西室 ・ 無能の岡村 ・ 野望の西田 ・ 無謀の佐々木“
東芝はウエスチングハウスに巨額の資金をつぎ込み買収しました。ウエスチングハウスはアメリカの原発メーカーで、熾烈な買収合戦を制した上に手に入れました。しかし東日本大震災による福島第一原発の爆破事故によって原発事業は大きな負債事業に陥ってしまいます。
東日本大震災さえなければ・・・
結末を知っている今の我々にとっては無謀な投資と感じますが、投資を決断した当時のトップは運が悪かったと感じているかもしれません。
個人の野望と会社の成長。また株主の思惑とリスクの許容範囲。
社長の暴走を止めることは言うほど簡単ではありません。
コーポレートガバナンスの難しさを考えさせられる事例だと思います。
企業は本能的に大きくなろうとするものですが、事業が複合化し、目が行き届かなくなる範囲が増えると、事業に対する愛着が希薄化し組織がサラリーマン化していきます。本業に専念している会社、例えば自動車のトヨタや衛生陶器のTOTO、空調機のダイキン工業などが勝ち残っている印象があります。
本社が大きな資金を持っていると大きな投資、無謀なギャンブルについ走りたくなります。
うまくいけば社長個人の功績。うまくいかなければ株主や銀行が損を被る。
この構造を変えない限り東芝のようなことは今後も起こるかもしれませんね。