パナソニックハウジングソリューションズがYKKに売却

投稿者:落合智貴
11月17日、YKKとパナソニックハウジングソリューションズ(以下PHS)の共同記者会見が行われ、パナソニックの100%子会社であるPHSの株式80%をYKKが取得すると発表されました。

【YKKAPの堀秀充会長(左)とパナソニックハウジングソリューションズの山田昌司社長(右)】
パナソニックYKK
YKKAPはYKKグループの中で窓やサッシに強みをもつ建材メーカーであり、PHSはバス・キッチン・トイレ・内装建材などに強みを持つ会社です。PHSは旧松下電工の事業を源流としています。
記者会見の中でYKKAPの堀会長は約1年前(2024年)にパナソニック側から株式売却の提案があったと述べ、省エネ・IOT・リフォーム対応などYKKAPが得意ではない事業を手に入れることがメリットであると説明しました。窓や外構を得意とするYKKAPと住宅設備など内装を得意とするパナソニックには重複事業が少なく、今後は住宅資材の70~80%を提供できる会社になると発言。YKKAP5616億円、PHS4795億円の合計1兆0411億円を10年後には1兆5000億円に伸ばしたいと目標を掲げました。
PHSの山田社長は、YKK創業者の吉田忠雄とパナソニック創業者の松下幸之助は理念が似ており、カルチャーの親和性が高く、販売ネットワークやYKKの海外工場での生産協力などシナジーを活かしてソリューションを提供したいと強調しました。パナソニックのブランドは維持し、人員整理も行う予定はないとの説明もありました。

ここからは個人的な感想です。
パナソニックの住設事業は従来、松下電器産業と松下電工という源流を同じくする会社が重複する事業でライバルとして競い合っていました。その後「ナショナル」ブランドを「パナソニック」ブランドに統一し、パナソニック電工に会社を統合し、その後パナソニックの一事業部であった時期を得て、パナソニックハウジングソリューションズ(PHS)という独立子会社になった経緯があります。組織が変わるたびに社員の帰属意識や一体感が薄れ、現場から気持ちが遠のいているのが私の印象です。今回のYKKグループ入りに関しても、パナソニックブランドを維持するのであれば何のための株式譲渡かが良く理解できません。
一方YKK側の戦略ですが、記者からのYKKAP堀会長への質問で、TDY(TOTO・大建工業・YKKAP)とのアライアンスはどうなるか?というのに対し、“TOTO・大建への説明はこれからである“との回答でした。”パナソニックもTDYアライアンスの中に入れたい“との発言もありましたが、パナソニックのアラウーノやビューティートワレといったトイレ事業でTOTOと競合する状況をどう整理していくのかは見通せません。
今後の動きに大いに注目していきたいと思います。