パナソニックは覚醒するか?

投稿者:落合智貴
当社がパナソニックの代理店を返上してから14年になりますが、いまだに動向は気になっています。三菱電機や東芝などとともに、かつて日本の産業をけん引してきた企業群は大きくなりすぎたゆえの問題も多く抱えているように見えます。
今年2022年4月にパナソニックは持ち株会社体制に移行しました。目的は広がりすぎた事業を「専鋭化」していくことにあります。
パナソニックホールディングスの下に以下の会社がぶら下がる形になります。
●パナソニック(この中に社内分社5社)
●パナソニックオートモーティブシステムズ
●パナソニックエンターテインメント&コミュニケーション
●パナソニックハウジングソリューションズ
●パナソニックコネクト
●パナソニックインダストリー
●パナソニックエナジー
●パナソニックオペレーショナルエクセレンス

パナソニックの覚醒
日経BP社「パナソニックの覚醒」ではパナソニックコネクト社長の樋口泰行氏が会社改革の道のりを述べています。樋口氏は新卒で松下電器産業に入社したあと34歳で退職し、ボストンコンサルティンググループ、アップルコンピューター、日本ヒューレット・パッカード、ダイエー、日本マイクロソフトなど主に外資系の企業の経営に携わってきました。
樋口氏の加入以来5年、「カルチャー&マインド改革」「ビジネスモデル改革」「事業立地改革」の3階層で変革を進めてきました。パナソニックの持ち株会社化によってパナソニックコネクト社の経営は自由度が増すことになります。最近はパナソニックコネクト独自のテレビコマーシャルでヤマト運輸の物流システムや東京ドームの顔認証システムなど企業とのコラボレーションの実績をアピールしています。

日系企業はこの30年低迷を続けていますが、樋口氏によると外資には日本企業にはない厳しさがある。逆を言うと日系企業には甘さがあるということでしょう。しかし外資系の経営者から見ると日系企業には優秀な社員が多くいるということでした。ダイエーの再建に関わったときに感じたことが、現場の社員は頑張っているのに利益が出ないということだったそうです。
樋口氏は経営に大切なことは大きな絵(ビックピクチャー)を描くことだと言います。どこで戦うかを間違えると努力が報われない。目の前の問題を解決することも大事ですが、大きな目で俯瞰する事こそが経営者には大事だと学んだ一冊でした。