投稿者:落合智貴
今月(令和7年4月)の日本経済新聞「私の履歴書」にはソニー元社長の平井一夫氏が登場しています。
常に本流から外れたところにいるにも関わらず、崩壊しかけた組織をことごとく立て直し、赤字事業を黒字化していくストーリーに引き込まれ、単行本「ソニー再生(日経BP社)」を購入し、一気に読んでしまいました。
平井氏は父親の転勤の影響でアメリカやカナダと日本を行ったり来たりする少年時代を過ごし、常に“異邦人である”状況に対応しなければなりませんでした。
ソニーには音楽の会社であるCBSソニーに入社したため、平井氏にとってソニー本体は遠い存在であり、ソニーにおいても“異端”な存在として仕事に従事します。
3度の事業再生に取り組みますが、1度目は35歳でソニー・コンピューターエンターテインメント・アメリカ(SCEA)の社長として、人間関係が崩壊してしまったアメリカ社の立て直し。2度目は46歳でソニー・コンピューターエンターテインメント(SCE)日本本社の社長として、大赤字となっていたゲーム機「プレイステーション3」の立て直し。3度目は51歳でソニー本体の社長になり、テレビ・パソコンといった、かつて主力事業であったエレクトロニクス事業の立て直しに取り組みます。
平井氏は著書の中で下記のようなメッセージを記しています。
●リーダーに必要な資質は、方向性を決めること。そして決めたことに責任を取ること。
●経営者はEQ(心の知能指数)が高い人間であれ。
●異見(自分と異なる意見)を求める心がけが必要。
●痛みを伴う改革こそ、先送りせずやり遂げる。
平井氏の考えは、“常に従業員の目線に立って皆のやる気を引き出さなければ組織は再生できない”そして“痛みを伴うものであってもやるべき時は覚悟を持って決断する“というものが根底にあるように感じました。
平井氏の“いさぎよさ“を感じる、どれも心に沁みるメッセージでした。