落合住宅機器の歴史を辿る【平成7年度(1995年度)後篇】

投稿者:落合智貴
平成7年6月4日に父 落合隆博が死去し、右も左もわからぬまま24歳の私は三代目社長に就任しました。私が入社した時には父はすでに入院していましたので、父と一緒に会社に行くことは一日もありませんでした。もちろん引き継ぎなんてできてません。
世間は「お手並み拝見」と思っていたことでしょう。「あの会社ヤバいんじゃないか」と思っていた人も少なくなかったかもしれません。

会社の存続が賭かった状況で、とりあえずやるべきことの優先順位をつけました。
社長就任の挨拶に伺うのは、1、金融機関 2、仕入先 3、得意先 の順番でした。
企業の資金繰りは待ったなしですので、銀行をまずは安心させなければいけません。そして与信不安を感じて商品を売ってもらえなくなっては困りますので仕入先への挨拶を行いました。得意先への対応はひとまずスタッフに任せ、ひと段落した後にお得意様を回りました。

何しろ入社して一カ月しか経っていませんのでやること全てが初めてです。
祖父の落合義作会長は現場を退いて永かったので細かいことは分かりません。
資金繰り、給料計算、ボーナスはどうする?
月次決算ってどうやるの? 算定基礎届ってなんだ! 年末調整?わけわからん
売上が下がってる?? お客さんの支払いが遅れてる?? 社員が辞めたがっている??

次々と押し寄せる難問に一つ一つ応えていくのに精いっぱいでした。
しかし、社員やお取引先様の助けを借りながら何とか1年を乗り越えました。
もう安心だと思えたのはこの何年後だったでしょうか?

【当時の初台の社屋 ナショナルとヒシパイプのブランドはもうなくなってしまいました】
untitled

パナソニック工具 ミニ展示会を実施

投稿者:落合智貴
当社の工具展は初台に本社があった際には近くの渋谷本町公民館で工具メーカー様に一堂に集まっていただき行っていました。
令和元年に中野区江古田に引っ越してからは、工具展に適した会場が会社近くになかったため、狭いながらも1階入り口のカウンター前で2日に分けて行いました。しかし令和2年にはコロナ禍となり工具展は中止としチラシセールを開催する形をとっています。
今回新たな試みとして、11月29日に1社単独の展示をしてみました。
パナソニックさんのみの参加で、ついでに防寒対策商品も展示しました。
ウィズコロナの時代の展示会の在り方はまだまだ模索が続きそうです。
お客様に喜んでいただける形を考えていきたいと思います。
パナソニック
冬対策商品

「たのめーる横浜物流センター」を見学

投稿者:落合智貴
当社が取引している大塚商会さんが運営しているネット通販サイトが“たのめーる”です。
一般文具などオフィスに必要な商品を数多く取り扱っています。
11月18日に横浜市金沢区にある、「大塚商会たのめーる横浜物流センター」を見学してきました。
たのめーる横浜倉庫
昨年(2021年)10月にオープンした物流センターはSBSロジコムグループが運営しており、最新の物流設備を備えています。
受注データは電子化されており、自動発行される伝票とピッキングコンテナが倉庫内のコンベアによって運ばれていきます。
頻度の高い商品はデジタルピッキングエリアにて人が棚から商品を取り出します。その際、ピッカーは光の点滅で表示される棚から表示された個数をピッキングして商品をコンテナへ入れます。頻度の低い商品は“オートストア”と呼ばれるロボットピッキングシステムにより立体的に配置された倉庫から機械が商品をピッキングエリアまで運んでくれます。
この“オートストア”は12段積みされた箱の集積で構成されていますが、AIの判断によって、ピッキングに時間がかかる段積み下部の箱には頻度の最も低いもの、比較的頻度が高いものは段積みの上部に保管されるようにプログラムされています。

【オートストア】
【オートストア】

最後の箱詰め作業では、あらかじめ物量に適した箱の大きさが伝票に示されており、箱詰め担当者は指定された箱に要領よく収納して封函します。比較的大きな箱が必要な物量の場合は“自動梱包機”の方に回ります。これはコンピューターが判断した物量に応じて箱の大きさがぴったりになるように箱の四隅に切り込みを入れて箱を必要最小限の大きさに織り込んでから封函します。これによって無駄な緩衝材が不要になります。
当社の出荷頻度ではこのような立派な自動倉庫は必要ないと思いますが、最先端の物流システムを見ることは大変参考になりました。

落合住宅機器の歴史を辿る【平成8年度(1996年度)】

投稿者:落合智貴
前年の平成7年に二代目社長である父 落合隆博が亡くなり、2年目の年度となりました。
この頃は祖父である落合義作会長も会社に来ることはほとんどなくなり、おおむね私一人で会社を取り仕切るようになりました。時には自宅の隣に住んでいた会長のもとに行き、業界の昔話や今後の対策などを話し合いながら経営を進めていきました。

設備業界としては鉄管が5.5mから4mに変更されたり、樹脂管のサヤ管工法が出てきたり、指定工事店制度の緩和があったりと動きがありました。24時間風呂のレジオネラ菌問題が表面化したのもこの年です。

この頃はバブル時代の高コスト体質を是正するために給与引き下げなどの対策をとり、回収見込みのない不良債権を処理するなど財務体質の再建が急がれていました。
しかし、かねてより懸案であった得意先T社の破たんがいよいよ現実となり、当社史上最高額の8500万円の貸倒れが発生しました。バブル崩壊による売上の減少に加えたダブルパンチです。これらをきっかけに当社の最重要課題は与信管理となりました。当時は今よりも手形の発行が大変多く、常に大きなリスクを抱えていました。だからこれ以上の不良債権を発生させてはならないとの思いで色々と勉強をしました。しかしその後も数年ごとに不良債権は発生しております。この8500万円の貸倒れは私が与信管理を考える大きな教訓となる事件でした。「理由なく支払期限を過ぎたお客様には販売しない」という原則をしっかりと守っていかなければならないと思います。
 
【社長就任二年目の25歳当時の筆者】

 

空調タイムスに記事が掲載されました!

投稿者:落合智貴
空調関連の工事会社、販売会社、メーカーを主な読者層とする「空調タイムス」という新聞があります。この業界紙は週刊で発刊されています。
9月28日号は「空調・冷熱商社特集」が組まれており、当社をご紹介いただきました。
当社が在庫管理を大事にし、お客様が欲しいものを速やかに供給できるよう努力していることをお話させていただきました。“6400アイテムを常時在庫”というタイトルも付けていただきました。
内容はコチラから見ることが出来ますので、よろしければご覧下さい。

空調タイムス

管工機材の展示会が続けて開催!

投稿者:落合智貴
コロナ禍になってから、展示会の中止が相次いでいましたが、先月には続けざまに管工機材業界の展示会が行われました。
10月6日に愛知管工機材・設備総合展(吹上ホール)
10月14日に東京みらい市(東京ビックサイト)
10月21日に東京管工機材・設備総合展(都立産業貿易センター浜松町館)
3週連続で見学をしました。
久々の展示会ということもあり、各メーカーさんは力が入っていましたし、お客さんもいつもより多かったような印象です。

印象に残ったのが未来工業のブースです。
リフォーム用の配管カバーとしてRMシリーズはすでに定番ですが、今回コーナータイプを開発しました。
壁の平面ではなく、コーナーに直角に設置するタイプのモールです。
見た目のスッキリ感が出せるかもしれません。
未来工業RMモール

未来工業コーナーRMカバー
もう一つは樹脂製のラッキングです。
この商品は従来からあったそうですが、因幡電工さんのブースでも展示しており、これから増えてくる可能性があるのではないかと思いました。
現在ラッキングはステンレスやカラー鋼板が主流ですが、一度何かがぶつかって凹むと修復が難しいです。樹脂製のラッキングなら凹む可能性は低く、耐候性も備えており、カラーバリエーションも因幡のスリムダクトのように壁の色に合わせた選択も可能です。
未来工業樹脂ラッキング
未来工業スッキリフロート

落合住宅機器の歴史を辿る【平成9年度(1997年度)】

投稿者:落合智貴
平成9年の4月に消費税が3%→5%に上がり、「駆け込み需要」とその反動が大きかったのがこの年でした。
バブル崩壊後の体力低下によって多くのゼネコンの株価が100円を割り、苦境が目につくようになりました。
上場会社である東海興業・多田建設・大都工業が倒産。
また金融界でも三洋証券・山一証券・北海道拓殖銀行が破綻。
日本経済の低迷を象徴するような年だったと思います。

当社においても売上が下がる一方で、不良債権・不良在庫も財務をかなり圧迫しており、希望の見いだせない時期でした。
この頃の私は社長としての仕事と共に1.5tのトラックで現場配送をする仕事をしていました。とはいっても配送件数が少なく、3台の配送のうち2台で済んでしまう為出動しない日も多かった記憶があります。

配送の仕事をしている最中の平成9年9月2日に病気療養中だった母 落合由里香が自宅で息を引き取ったとの知らせが入りました。51歳の若さでした。
母は昭和21年に落合家の長女として生まれました。当時は会社兼自宅でもありましたので、母は近所の本町小学校にも通っていました。ピアノが得意な三姉妹のお姉さんでした。
父との結婚を機に社長夫人ともなり、バブル当時には業界の海外旅行などにもよく行っていましたので、今でも当時のことを懐かしんで下さる方もいらっしゃいます。
私と弟二人の三人の息子を育て、これから父とゆっくり過ごしたいと思っていたでしょう。
亡くなる2年前、大腸がんであった父 落合隆博の看病の最中に母自身も乳がんであることが分かりました。聖マリアンナ医大病院に父母二人同時に入院している時にも、父の病室にきて世話をするような人でした。父が亡くなった時には自分の手術を延期して父の葬式を出しました。手術後しばらくは落ち着いていたのですが2年後に再発し、再手術をしました。
自宅で過ごしたいとの母の意向もあり、当時大学生だった弟と叔母が自宅で看病してくれて最期を迎えました。
26歳の私と、大学4年で就職活動中だった双子の弟二人はこの時点で両親を亡くすことになりました。

【父の死の2年後にあとを追うように母も亡くなりました】
untitled

製販懇談会2022.10(後半)

投稿者:落合智貴
10月4日に行われた東管機組合「製販懇談会」の後半3社の発表をご報告します。

●川本製作所
2022年4~8月の出荷統計では、陸上ポンプ前年比96%、水中ポンプ102%、消火ポンプ99%、増圧・加圧ポンプ78%、全体では98%。コロナの影響による部材調達不足は、モーター鋳鉄部材は安定してきたがインバーターなど電子部品が入ってこない。増圧ポンプは3.7KW以下はまだ受注停止しており、復活の目途はたっていない。

●パナソニックハウジングソリューションズ
2022年度のルームエアコンの需要は前年比98%、パッケージエアコンは102%。新しいライフスタイル需要を「健」「楽」「安」を切り口に提案していきたい。各企業は感染症対策として換気の取り組みを強化している。飲食店のお店選びでは「換気」に対するユーザーの意識が高い。商品供給は給湯設備製品が納期1か月など遅れ気味。

●LIXIL
2022年10月に定価値上げを実施。資材高騰により工事原価がマンションで134%、戸建てで138%と上がっている。新築が減少傾向にあり、リフォームに着目している。キッチン・バスなどの廃棄物処理は元請けに責任があり法令順守が必要。LIXILブランドを騙った偽物の浄水器カートリッジが出回っている。インターネットのフリーマーケットやオークションサイトで購入する際は注意が必要。
LIXIL浄水カートリッジ注意喚起情報(公式)
lixilカートリッジ

製販懇談会2022.10(前半)

投稿者:落合智貴
10月4日に東京管工機材商業協同組合で恒例の「製販懇談会」が明治記念館で開催されました。コロナの影響による供給不安がまだ残っていますがその回復具合に焦点が当てられました。
メーカー7社中前半4社の発表をご報告します。

●日本製鉄
日本経済は緩やかながら持ち直している。非住宅着工数が4~7月は良かった。資源高、円安は当面続きそう。カーボンニュートラルを目標に、高炉水素還元で鉄を作ることについて世界的に研究が進められている。

●シーケー金属
鉄管継手の生産量はコロナ前の2019年は2150t。2021年は1750tと減少。都内では大型現場は多いが、中小現場が少ない傾向。白シール付き継手が国交省で認められた。SU管用ワンタッチ拡管式継手を新発売。

●クボタケミックス
2021年度はパイプ102%、継手103%。リーマンショック以降下落を続けたが下げ止まった。ウクライナ戦争や円安の影響もあり原料は高止まり。耐火パイプやKCドレンなど環境に配慮した製品を発売。

●キッツ
バルブの生産量は2009年以降右肩上がり。最近では販売個数はあまり変わらないが値上げ効果で売上増。中小物件は動きが悪い。青銅バルブは減少、ステンレスバルブは増加傾向。耐久性重視のニーズが増えている。70周年事業として茅野工場にイノベーションセンターを作った。
製販懇談会2022.10

落合住宅機器の歴史を辿る【平成10年度(1998年度)】

投稿者:落合智貴
前年の平成9年度まで当社はバブル以来6年連続の減収であり、この頃には多くの同業他社も倒産や廃業に追い込まれていきました。
当社も廃業した方がよいのではないか?と創業者の落合義作会長と真剣に議論しました。
高コスト体質を是正しなければ潰れてしまう状況にあったのです。
社員の給料を減給し、賞与も出せず、先行きの希望が見出せなかったためか、9月末に社員が3人同時に退職する事態も発生しました。
この事件をきっかけになんとか採算にのせることができ、義作会長からは事業継続の了承を得られました。

そんな矢先の10月19日の朝、落合義作会長が自室で倒れているのを家族が発見しました。発見された時には既に脳出血で息を引き取った後でした。前夜にはテレビでゆったりとプロ野球の日本シリーズを元気で見ていました。85歳の生涯でした。
私の母方の祖父である落合義作会長は埼玉の農家の次男で医者になることを期待されていたそうです。
慶応大学経済学部を卒業。慶応ボーイであることを誇りに思っていました。
兵隊として32歳で終戦を迎え、39歳で会社を創立しました。
慶応大学時代の友人が大企業で活躍するのを見て、とても悔しい思いをしていたそうです。
それをバネに、会社を作り皆を見返してやろう。そんな気持ちで創業しました。

私が社長、祖父が会長という期間はわずか3年ちょっとの期間でしたが、短い期間で創業者の考え方を学びとりました。義作会長がよく言っていたのは「分相応(ぶんそうおう)」という言葉でした。自分の『分(ぶん)』をわきまえずに商売を拡大してはいけないという意味です。逆に言うと自分の『分(ぶん)』を大きくするように努力せよという意味だと自分では解釈しています。
経理畑でお金には固い人でした。性格は”瞬間湯沸器”でしたので周りの人は大変だったかもしれません。しかし創業者とは大変なものだと思います。その事業が70年を超えて存続していることを天国で喜んでくれているでしょうか?

【娘婿に先立たれ、孫である私と共に仕事をしたのはわずか3年余りでした】untitled
  (前列右が落合義作会長 その左が筆者)

初台旧本社のその後・・・

投稿者:落合智貴
【2020年 解体直前の初台旧本社ビル】
落合ビル外観
当社は令和元年(2019年)7月に渋谷区本町から中野区江古田に移転しました。
旧本社は1階に会社事務所と倉庫を構え、45㎡×18所帯の7階建て賃貸マンションでした。
当社のトラックなど車両10台を駐車し、パイプ棚も配置しておりました。
初台駅から徒歩10分程の旧本社はその後、東京建物様に売却しました。そして2年前より解体、新たな賃貸マンションへの建替えが進められてきました。
この度「Brillia ist 渋谷本町」が完成し、土地の旧オーナーとして内覧会にご招待頂き、見学してきました。

【2022年9月完成 Brillia ist 渋谷本町】
ブリリアist渋谷本町外観
今回新たに完成したのは25㎡~50㎡の合計47所帯の賃貸マンションです。
ガラス張りの外観が印象的です。
駐車スペースはなく、バイク置き場や駐輪場は完備されています。

このマンションのポイントはコロナ禍を踏まえ、共有のワークスペースが充実していることです。
1階のフリースペースにはWi-Fiやコンセントが完備されたフリーデスクがあり、入居者は自由に使うことが出来ます。
ブリリアist渋谷本町フリースペース

またオンライン会議などに使用できる個室ブースも6室設けられ、予約制で利用できるそうです。自室とは別にテレワークできる部屋があるのは公私の切り替えをする上で非常に魅力的ですね。部屋のタイプによっては居室とは別に1階に専用トランクルームがあるのもうれしい特典です。
ブリリアist渋谷本町個室
コロナ禍で資材の高騰やサプライチェーンの乱れなど建築が困難な時期であったと思います。そんな中で、ライフスタイルが変わり住まいへのニーズが大きく変わったことにうまくプランニングした東京建物様は素晴らしい会社だと思いました。

祖父の代から引き継いだこの土地は手放しましたが、社会のニーズに応えた建物に生まれ変わったことは私にとってもうれしく、一連の本社移転の本当の終結になった感じがします。
「Brillia ist 渋谷本町」が多くの方の人生のすばらしい舞台になることをお祈りしております。

コロナ、ウクライナ・・・そして円安

投稿者:落合智貴
ダイキン工業は2023年度中に有事に中国製部品がなくてもエアコンを生産できるサプライチェーンを構築するそうです。
日本はバブルの頃まで経済成長を続け、ドル円レートは360円から1995年には79円まで円高が進みました。バブル以降、日本の製造業は円高を背景に人件費の安い中国や東南アジアに製造拠点をシフトしていきました。

ダイキン
新型コロナが発生してからベトナムや上海のロックダウンの影響でウォシュレット、エアコン、給湯器、ポンプなど当社が扱う多くの製品が一時供給ストップとなりました。
コロナによるサプライチェーンの混乱、ウクライナ戦争による資源高、日米金利差による円安とメーカーが海外生産をするメリットがことごとくデメリットに転換していったのがこの3年間だったと思います。

バブル以降の日本は他国の成長を尻目に賃金が上がらず、人口減少も始まり、GDPは世界3位からの転落も視野に入ってきました。
今回のダイキン工業の動きは日本への製造拠点回帰という合理的な動きの典型例だと思います。サプライチェーンの安定化や内需・雇用の拡大など日本再興のきっかけになることを願います。

落合住宅機器の歴史を辿る【平成11年度(1999年度)】

投稿者:落合智貴
平成7年の社長就任から5年目となり、会社全体の業務を大方把握できるようにはなったのですが、バブル崩壊以降の厳しい不況にはあらがえずジリジリと売上を落としていきました。
バブルのピークに売上高12.5億円に達していた当社の売り上げは平成11年度には5.0億円、翌年の平成12年度には4.1億円でやっと底を打ちます。

PHSや携帯電話を所有する人が増えてきたのはこの頃です。また、パソコンを持つ人も増えてきました。
当社でもこの頃はキーボードやマウスを触ったことがない社員が多かったですね。
この頃はパソコンの2000年問題をきっかけにシステムの変更が求められていました。
在庫管理の必要性を感じていた私は販売管理ソフトの導入を決断し、この年にはいろんな販売管理ソフト会社の説明を聞き検討をしました。その結果大塚商会の「スマイル」を導入するに至りました。

社員の士気が一番下がっていたのがこの頃かもしれません。
売上が下がり、給料も下がる・・・・
会社の将来について不安を感じ、どうなってしまうんだろうと思っていた社員が多かったと思います。
売上の減少が続き、何の対策も取られなければ会社は潰れてしまいます。
この販売管理ソフトの導入は倒産を回避する、最後のギリギリのタイミングだったと今となっては思います。

メーカーに返品できない機器商品(いわゆるデットストック)をリスト化して情報共有すること。
「お得意様懇談会」と称し、展示会のバス動員と懇親会を数年ぶりに再開したこと。
これらもこの年に始めました。
小さな対策をひとつずつ積み重ねていく。
これしか生き残る道はなかったと思います。

【ホテルアミスタ阿佐ヶ谷での第一回お得意様懇談会】
untitled

空き家問題を考える

投稿者:落合智貴
日本経済新聞によると2023年に日本の空き家は1000万戸に達するそうです。
日本の人口はすでに減少局面に入っていますが、世帯数はいまだに増え続けています。
しかしいよいよ世帯数も2023年に5419万戸でピークとなり減少が始まると予想されています。
建設業界に身を置く我々としては、新築着工戸数が増えることを期待して仕事をしてきましたが、もう新築は多くは必要ないということになりそうです。

空き家問題を考える
戸建ての空き家に関しては、死亡したのに名義が書き換えられてないケースがあります。相続人不明のまま放置されているケースや、分かっていても取り壊し費用を惜しんでそのままにしているケースなどがあると思われます。
マンションの場合も深刻です。所有者と連絡がつかず、修繕積立金が集められず、建替えに必要な5分の4の議決も得られないなどの経緯で建替えを決断できないまま管理不在で老朽化していくマンションも徐々に増えているようです。
築50年を建て替えの目安とすると、今から50年前の1972年より前に建てられたマンションよりもその後に建てられたマンションの方が圧倒的に多いです。すなわちこれから築50年を超えるマンションがどんどん増えていくということです。

これらの問題を解決するために議論されていることは、
1, 建替えに必要な議決を「5分の4」から「4分の3」や「3分の2」に引き下げる
2, 空き家を解体して更地にすると固定資産税が高くなることの是正
などです。
かつて日本の住宅事情は“ウサギ小屋”と揶揄されてきました。
しかしコロナ禍でテレワークが増えてきたことで都心ではなく郊外を選択する人も増えてきましたし、空き家をうまくスクラップ&ビルドしていけば一戸当たりの面積を広く作ることもできます。

設備や内装はかつてに比べて格段におしゃれになっています。
日本の住宅の付加価値を高めていくことも我々の役目ではないかと思います。

MMT理論を考える

投稿者:落合智貴
日本がデフレと言われるようになって25年ほどになるでしょうか。この間、中国や欧米では賃金上昇を成し遂げているにもかかわらず、日本は全く賃金が上がっていません。
政府の財政政策はプライマリーバランスが重要視されますが、その対極にあるのが“MMT理論(Modern Monetary Theory)”です。藤井聡著「MMTによる令和新経済論」(晶文社)ではMMT論者が経済理論を解説しています。

MMT理論
この著者は、MMT理論は財政規律を無視したトンデモ理論と評されることが多いが、これこそが日本経済再生のシナリオである、と述べています。
●貨幣(オカネ)とは納税に使える返済期限のない、国家の借用証書である。
●国債が存在している間だけ、その金額の貨幣がこの世に存在する。要するに国債がなくなれば貨幣も消えてなくなる。
●インフレ率を適正水準に調整することを目指すのがMMT理論。
●プライマリーバランスの黒字化目標は撤廃すべきである。
●デフレ脱却までは消費税は減税すべきである。
●「円の信認」は政府の徴税機能が崩壊したり、国民が納税義務をボイコットするなど「徴税を巡る国家体制」が失われたときに初めて失われる。国債の残高が増えすぎたり、円が増えすぎる事で「円の信認」が失われることは起こり得ない。
●財政支出は無駄遣いするのではなく、ワイズスペンディングとしてお金の使い道はいくらでもある。例えば①介護・医療供給量の強化 ②食料自給率の確保 ③資源・エネルギー自給率の向上と輸入価格の引き下げ ④物流・輸入コストの縮減 ⑤防災・強靭化 ⑥地方活性化 ⑦科学技術力の強化 ⑧防衛力の強化

結論としては、過剰なインフレやデフレを回避するために、インフレ率=物価上昇率が2%~4%程度に安定的に収まるように、新規国債の発行額、場合によっては消費税率を調整することを通して、毎年毎年政府の財政収支を調整していくことが必要であるということです。要するにインフレ目標に達するまでは国債をジャブジャブ発行した方が良いということです。
この理論が政府の中で主流になる気配はありませんが、この理論によるデメリットを私はあまり感じません。皆さんはどう思いますか?

新型コロナ第7波

投稿者:落合智貴
新型コロナの第7波のピークを迎えている現在、毎日全国で20万人以上の新規感染者が報告されています。かくいう私も先日家族が陽性になってしまいました。
濃厚接触者は追わないというのが最近のルールになりましたが、同居している家族は5日間の自宅待機が求められます。
仮に20万人が一か月続けば600万人。日本の5人に一人が感染するペースです。
家族が感染した、保育園が休園になったなど、本人が感染していなくても会社に行けない状況になる人はますます増えてきそうです。
仕事も家でできる体制や、誰かが急に休んでも替われる体制など各企業は対策を求められます。
コロナ禍3年目になりますが、秋になると落ち着いてくる傾向があります。
状況が良くなるまでもう少しの辛抱かもしれませんね。
第7波

イトーヨーカドー創業者 伊藤雅俊氏の人生

投稿者:落合智貴
セブン&アイ・ホールディングスの名誉会長で創業者の伊藤雅俊氏の人生をつづった「伊藤雅俊 遺す言葉(セブン・&アイ出版)」を読みました。
大正13年生まれの伊藤氏は三菱鉱業の勤務を経て、戦争中に徴兵され、特攻の訓練を受けている途中に運良く終戦を迎えます。戦後、東京・千住で母と異父兄が切り盛りしていた洋品店「羊華堂」を手伝います。伊藤氏は自らを複雑な家庭環境で育ったと述べており、母の3度目の結婚で生まれた伊藤氏には父の異なる兄弟がいました。その中でも、自分の事は顧みず他人に尽くした母親への思いと、父親代わりとなって自分を学校に行かせてくれ、商売の基本を教えてくれた異父兄の譲氏に対する思いは一際強いものがあります。兄の譲が44歳で急死したことをきっかけに株式会社ヨーカ堂を昭和33年に設立し、初代社長に就任します。

伊藤雅俊
伊藤氏の言葉からは端々に“人への感謝”がつづられています。戦後の混乱期の中では人の力を借りなければならないことも多く、複雑な家庭環境の中で争いにならないように道筋をつけてくれた同業者の恩人もいたそうです。“感謝”と“謙虚”が伊藤氏の考え方のベースになっているように感じます。

私が大学生だった平成初期のころ、財務会計の授業で事例として取り上げられたのが、「フロー経営のイトーヨーカ堂」と「ストック経営のダイエー」でした。借金を抑えて利益を重視するヨーカ堂と、借入によるレバレッジを効かせて不動産を増やしていくダイエーは、成功した同じ小売業にもかかわらず考え方が正反対である事例でした。その後ダイエーはバブル崩壊の波にあらがえず衰退していくわけですが、フロー経営のヨーカ堂の考え方には貧しいころの伊藤氏の借金嫌いから来ていたことをこの本を読んで初めて知りました。

巻末の元日経新聞の末村篤氏の解説は秀逸でした。伊藤氏は総会屋問題で退任しなければならなかったことについては多くを語らず、心を痛めているようです。セブンイレブンを大きくしていった鈴木敏文氏との関係も多くは語らず経営を任せていったとの記述があります。情の伊藤氏が理の鈴木氏を静かに見守ったからこそセブンイレブンやセブン銀行などの新規業態がうまくいったのだと思います。鈴木氏も”個性的なダイエー中内さんや西武の堤清二さんだったら自分は三日と持たなかっただろう”と語っているそうです。
伊藤雅俊氏の人生は、俺が俺がの経営ではなく、理念を重んじ、若い世代を陰から見守る、いかにも日本的な“和の精神”を体現したものだったように思います。

日本水道鋼管協会の勉強会

投稿者:落合智貴
7月29日(金)に東京管工機材商業協同組合主催の勉強会が行われました。
内容は日本水道鋼管協会(WSP)による鋼管についてです。

昭和42年(1967年)に設立されたWSPは主にライニング鋼管の普及を目指して作られた団体です。昭和40年代までは、日本の建物内給水管は主にSGP白ガス管を使っていました。亜鉛メッキ塗装をしている管ですが、長年使っていると亜鉛メッキが溶け出し、赤錆が発生するという問題がありました。それを解消するために作られたのが塩ビライニング鋼管であり、内面に塩ビ管が張り合わせてあります。よって水が通る内面は塩ビ管となりますので錆びが発生しません。ただし、継手ねじ込みの残り山やパイプ管端には鉄の部分が水に触れてしまうため「管端防食継手」いわゆる“コア入継手”が開発され、塩ビライニング鋼管とセットで使われるのが主流となりました。

今回の勉強会では、DVDによる塩ビライニング鋼管の製造工程の説明。継手についての説明などが行われました。その後「電食」についての説明では鉄・銅・ステンレスなど素材の違う管は電位差があり、直接接続すると管が腐食する恐れがあるので、異種管を接続する場合は絶縁継手を間に接続するなどの必要があると説明がありました。

その後は“切削ねじ“と”転造ねじ”の違いの説明です。“切削ねじ”は一般的に使われているねじですが、パイプ外面を削り取ってねじを加工するので、地震などがあると最も破断しやすい箇所がネジ部分になってしまいます。“転造ねじ“の場合は表面のメッキ加工を残したままパイプ外面を凹ませる加工となりますのでネジ部の強度が落ちないのがメリットです。ただし管端防食継手には接続できないためあまり普及していないというのが現状です。SGP白ガス管など冷温水配管や消火栓配管では使われるケースもあるようです。

日本水道鋼管協会
最後はレッキス工業とリケンによる実演がありました。
レッキス工業さんからは、バンドソーによる鋼管の切断とパイプマシンによるネジ切りの実演が行われました。コの字型にした“切削ねじ”接合の管と“転造ねじ”接合の管を人力で引っ張ってみる実験では“切削ねじ”はネジが破断したのに対して、“転造ねじ”はパイプ自体が曲がってネジ部分は破断しないことが証明されました。
リケンさんはグルービング接合の実演です。メカニカル継手である”トップジョイント”はリケンがシェアを一番持っている商品です。パイプの先端から少し内側に溝を作り、管と管のつなぎ目にパッキンを合わせて上からトップジョイント本体をかぶせ、ボルトナットを締め付けていく施工方法です。大きな口径の管でも長いパイプレンチの取り回しが必要なく、少ない労力で接合できることが分かりました。

ダイキンのフレアレスジョイント

投稿者:落合智貴
エアコンの冷媒管接続は一般的にフレア加工により行います。銅管の先端をフレアツールを使ってラッパ状に広げ、空調機の接続部分にナット締めしていきます。
しかし、フレア加工は狭いスペースでフレアツールを取り廻さなければならず、職人の腕の良し悪しによって、最もガス漏れの原因となりやすい箇所です。
ダイキン工業はビルマル・スカイエアーにおいて「フレアレスジョイント」を同梱するようになりました。従来通りフレア加工で接続することもできますが、フレアレスジョイントを使用することもできます。
施工方法は、バリ取り・マーキング・管の挿入・ナット回し、という手順です。
信頼性については今後の実績次第ということになりそうです。
また、管と管の接続に使う「クイックパイパー」もオーケー器材から発売されています。施工方法は「フレアレスジョイント」と同じです。
フレア加工とフレアレスのどちらが施工会社様に評価されるのか注目したいと思います。

フレアレスジョイント
【7月8日に幕張メッセで行われたグランドフェアではフレアレスジョイントが展示されていました】

安倍晋三元首相の銃撃事件

投稿者:落合智貴
安倍晋三元首相が7月8日に銃で撃たれ死亡するという大きなニュースがありました。
日本の首相経験者が殺害されるというのは戦前の5.15事件や2.26事件以来かと思います。
私はその日の昼過ぎに“安倍元首相が撃たれて心肺停止“と取引先の方から聞いた時、「それはダメだろ」と思わず口にしてしまいました。
参院選の遊説中に背後から銃撃されたことに対し、“民主主義の根幹である選挙中に、言論の自由を暴力で封殺するのはあってはならない”と多くの政治家や識者がコメントしています。しかし容疑者の供述を見る限り、自分が恨んでいる特定の宗教団体とつながりがあるから安倍氏を襲撃したとのことです。政治的な信条の違いによる犯行ですらない事に虚しさを感じます。

安倍晋三元首相

安倍元首相は強すぎた故に批判されることも多いですが、見習うべき点が多くあると思います。
一つは考え方に信念があることです。考え方がブレずに、何度も同じことを訴えてきました。“アベノミクス3本の矢“のように重要なポイントを示して訴え続けたこともそうですし、防衛問題に関しては戦争をしないためにはどうしたらよいのかという信念を強く持っていたように感じます。
二つ目は対話能力の高さです。海外の首脳ともフレンドリーな関係を築くのが大変上手だと思います。また自分と違う考え方の人に対してもしっかりと対話ができる包容力があったように感じます。
三つ目は行動力です。アメリカのトランプ氏が大統領選に勝利した直後に真っ先にお祝いに駆け付けた素早さは、日米の協力関係を強固にするために大変重要な行動だったと思います。また世論や周りの意見を聞いて、良いと思ったことはすぐに行動に移すことが多かったと思います。

人の信頼というのは一つ一つの言動によって高められたり失墜したりするものです。
安倍氏の言動が信頼に足りるものだと評価されたからこそ、多くの外国首脳から信頼され、国内の選挙で勝ち続けたのだと思います。
日本の存在感が最近大きくなってきたのは安倍氏の功績が大きいと思います。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。

管機連2022年度社員総会を開催

投稿者:落合智貴
6月20日に一般社団法人全国管工機材商業連合会(管機連)の第10回定時社員総会がグランドアーク半蔵門で行われました。
私は10年連続で司会進行を担当させていただきました。
総会後の講演会で4名の方々のお話がありましたのでご紹介いたします。

●経済産業省 製造産業局 素材産業課長 吉村様
「素材産業の更なる競争力強化に向けて」
素材産業は様々な原材料から化学反応を用いて製品を製造している。その中でもエチレンプラントはCO2の排出が多い。国内需要は人口減少に伴い緩やかに減少していく見込みでエチレンの国内生産能力も減少しているが、グローバルにはエチレン需要は伸びている。特に半導体は2030年に100兆円規模になる見通し。菅首相が2050年カーボンニュートラルを宣言したが、CO2を原料にしたプラスチックの製造が重要になる。素材産業の課題は、安定供給と事業の新陳代謝である。原料価格の高騰に関しては、下請け価格に適切に反映されるよう、下請けGメンを通じて働きかけている。

●国土交通省 住宅産業課長 松本様
「住宅建築行政の最近の動向について」
令和4年度の住宅局関係予算については、①住まい・くらしの安全確保 ②住宅・建築物におけるカーボンユートラルの実現 ③誰もが安心して暮らせる多様な住まいの確保 ④既存ストックの有効活用と流通市場の形成 ⑤住宅・建築分野のDX・生産性向上の推進 がポイント。税制では住宅ローン減税を延長し、環境性能に応じて借入限度額を変えていく。長期優良住宅認定基準は見直す見通し。

●厚生労働省 医薬・生活衛生局 水道課長 名倉様
「最近の水道行政の動向について」
我が国の水道普及率は98.0%を達成。既存の水道の基盤を確固たるものとしていくため、下記の課題対応が必要。
① 老朽化の進行-耐用年数を超えた水道管路の割合が年々増加。年間2万件を超える漏水・破損事故が発生している。
② 耐震化の遅れ-水道管路の耐震適合率は約4割しかない。大規模災害時に断水が長期化するリスクがある。
③ 多くの水道事業者が小規模で経営基盤が脆弱-水道事業は主に市町村単位で経営されており、職員数が少なく小規模で脆弱。人口減少で水道サービスが維持できなくなる自治体も出てくる可能性がある。
④ 計画的な更新のための備えが不足-約3分の1の水道事業者で給水原価が供給原価を上回っており原価割れの状態。計画的な更新のための資金を確保できていない事業者も多い。

●元内閣官房国家安全保障参与 宮川様
「世界の地殻変動(新たな対立の時代)」
戦後の世界対立は大きく第三時代に入っている。
第一時代(1947~1989年):米ソ冷戦の時代
第二時代(1989年~2017年):国連が機能したグローバル協力の時代
第三時代(2017年~):新たな世界対立の時代
第三の時代は米国トランプ大統領が米国第一主義を提唱。英国がEU離脱。中国が世界第二位の経済大国となり西側に挑戦しようとしている。

新冷戦は熱戦に発展する懸念がある。米国の相手はロシアではなく中国。米ソ冷戦時代は対立の中心が欧州であったが、新冷戦では対立の中心地域は東アジアと西太平洋となる。戦略空間は陸海空を超えて、宇宙・電子空間に侵入している。ロシアのウクライナ侵攻は”力の時代”に戻る兆候であり、核兵器の意味も変わってくる可能性がある。

管機連2022総会
【意見交換会での橋本政昭会長のあいさつ】

「17才の帝国」を見て

投稿者:落合智貴
NHKで放送されていたドラマ「17才の帝国」が終わりました。
このお話は、経済力が落ち“サンセットジャパン”と揶揄されるようになった近未来の日本を描いています。ある地方の実験都市において“17才の総理“を筆頭とした若い内閣がAIの分析を尊重して政策決定をしていくというお話です。
民主主義における人間の意思決定は利権や為政者の思惑が入り込む余地が大きく、間違った方向に行く可能性を秘めています。AIの判断を尊重する政策決定というのは近い将来本当にありそうな話です。
“17才の総理”は就任直後に内閣支持率が30%を下回ったら自動的に罷免されるようプログラムを組み、世間に公表します。閣議はオンラインで公表され誰でも見ることが出来ます。
AIは不透明な意思決定をする地方議会を解散すべきと進言し、内閣は実行します。
市役所も無駄が多いと人員削減案を提案し実行に移します。
これらは地元の権力者や市役所職員から大きな反発を受けます。
街の再開発プロジェクトは当初計画において無駄が多く、経済効果が疑問視されていましたが、AIによっていくつかのプランが出されて改善されていきます。

無題
AIが最善の策を提案し、人間が最後の意思決定をしていくというのは合理的な感じがします。しかし「17才の帝国」では“権力者”が年配者からAIを駆使した若者に移るだけでは人々は反発するということも示唆しています。
意思決定のプロセスというのは多くの人が納得するものである必要があり、いつの時代も大きなテーマになりうるものだと感じました。
かつてイギリスのチャーチル首相は「民主主義は最悪の政治といえる。これまで試みられてきた、民主主義以外の全ての政治体制を除けば」という有名な言葉を残しています。
世界は今ウクライナ戦争に象徴されるように、民主主義vs専制主義という対立が浮き彫りになっています。
民主主義とAIは新たな意思決定の仕組みとして社会をより良くしていくことが出来るのでしょうか?

製販懇談会 2022春(後半)

投稿者:落合智貴
4月20日に開催された東京管工機材商業協同組合の製販懇談会の後半のご報告です。
●荏原製作所
建設市場は緩やかに持ち直しの見込み。産業市場はコロナが落ち着けば企業の投資が回復する見通しだが原油高やサプライチェーンの混乱は懸念。公共市場は大きく減少することはなさそう。ポンプ需要はGDPに連動している。SDG’Sへの取り組みとしては安全な水を届ける事やCO2削減に貢献していきたい。2021年にインバーター一体型モータ搭載の「BN-MK型」を発売予定。
●ダイキン工業
ベトナムのロックダウンの影響で製品不足をお詫び。円安・原料値上げでコストアップが進んでいる。上海のロックダウンの影響も出てきている。社会情勢としては①カーボンニュートラル ②空気・換気に関するニーズの高まり ③エネルギーコストの上昇 があげられる。空調市場の動向としてはパッケージエアコンは2022年度104%の予想。業務用全熱交換器は105%。ルームエアコンは100%。エコキュートは110%を予想。
●TOTO
ウォシュレット・水栓金具の供給不足でご迷惑をかけた。ウォシュレットは少しずつ回復している。上海のロックダウンではバス換の供給に影響が出ている。2021年度はお家時間の増加で高付加価値商品が好調だった。システムバスでは「シンラ」、キッチンでは「ザ・クラッソ」など高価格帯商品が伸びた。ウォシュレットのオート開閉や洗面化粧台オクターブの自動水栓などタッチレスの需要も増えている。新商品4部位発売を予定。2022年10月に定価改定を予定。

TOTOオクターブ

パナソニックは覚醒するか?

投稿者:落合智貴
当社がパナソニックの代理店を返上してから14年になりますが、いまだに動向は気になっています。三菱電機や東芝などとともに、かつて日本の産業をけん引してきた企業群は大きくなりすぎたゆえの問題も多く抱えているように見えます。
今年2022年4月にパナソニックは持ち株会社体制に移行しました。目的は広がりすぎた事業を「専鋭化」していくことにあります。
パナソニックホールディングスの下に以下の会社がぶら下がる形になります。
●パナソニック(この中に社内分社5社)
●パナソニックオートモーティブシステムズ
●パナソニックエンターテインメント&コミュニケーション
●パナソニックハウジングソリューションズ
●パナソニックコネクト
●パナソニックインダストリー
●パナソニックエナジー
●パナソニックオペレーショナルエクセレンス

パナソニックの覚醒
日経BP社「パナソニックの覚醒」ではパナソニックコネクト社長の樋口泰行氏が会社改革の道のりを述べています。樋口氏は新卒で松下電器産業に入社したあと34歳で退職し、ボストンコンサルティンググループ、アップルコンピューター、日本ヒューレット・パッカード、ダイエー、日本マイクロソフトなど主に外資系の企業の経営に携わってきました。
樋口氏の加入以来5年、「カルチャー&マインド改革」「ビジネスモデル改革」「事業立地改革」の3階層で変革を進めてきました。パナソニックの持ち株会社化によってパナソニックコネクト社の経営は自由度が増すことになります。最近はパナソニックコネクト独自のテレビコマーシャルでヤマト運輸の物流システムや東京ドームの顔認証システムなど企業とのコラボレーションの実績をアピールしています。

日系企業はこの30年低迷を続けていますが、樋口氏によると外資には日本企業にはない厳しさがある。逆を言うと日系企業には甘さがあるということでしょう。しかし外資系の経営者から見ると日系企業には優秀な社員が多くいるということでした。ダイエーの再建に関わったときに感じたことが、現場の社員は頑張っているのに利益が出ないということだったそうです。
樋口氏は経営に大切なことは大きな絵(ビックピクチャー)を描くことだと言います。どこで戦うかを間違えると努力が報われない。目の前の問題を解決することも大事ですが、大きな目で俯瞰する事こそが経営者には大事だと学んだ一冊でした。

製販懇談会 2022春(前半)

投稿者:落合智貴
東京管工機材商業協同組合の恒例の製販懇談会が明治記念館で4月20日に開催されました。
メーカー様7社の発表のうち前半4社の内容をご報告いたします。

●ベンカン
ステンレスの原料となるニッケルはロシア産が10%。一時SUパイプの生産を中止したが現在は再開している。ただし価格は10~15%値上げ。中国のロックダウンの影響で継手の材料も不足している。給湯温度が高くなるケースが多くなり、拡管式のBKジョイントⅡは100℃まで使用可能になった。
●積水化学工業
建設業従事者は20代が11%しかおらず減少傾向で労務費が上がっている。もっとカッコいいと思われる仕事にしなければならない。建設投資は5.5%増。国産ナフサはこの二年で2倍に上がっており、原料メーカーはこの一年で4回値上げをした。中国・インド・北米・南米などで塩ビの需要は拡大しており、内外価格差がますます拡大の傾向。ウクライナ情勢によりさらに騰勢が強まりそう。
●フネンアクロス
昨年、エーアンドエーマテリアルとバクマ工業が相次いで耐火二層管事業から撤退した。残るはフネンアクロスと昭和電工建材(ケイプラ)のみとなった。耐火二層管が発売されて50年。ピークは発売から22年のバブルの頃。平成12年に法改正がありメジ付き継手になった。
●大和バルブ
日本バルブ工業会は正会員113社。品種別では給排水栓類22.2%、自動調整・調節弁31.5%、ステンレス弁が24.5%。部門別では建築設備用56.5%、上下水道用12.2%。バルブ産業が影響を受ける外部要因としては「カーボンニュートラル」と「デジタルトランスフォーメーション(DX)」があげられる。バルブ業界のDXとしてはアズビル社からDx Valve Cloud Serviceが販売されており、バルブの稼働状況をクラウドサービスで解析するもの。 

製販懇談会2022春

ダイキンHVAC展2022

投稿者:落合智貴
令和4年4月19日~21日に新宿NSビルで「ダイキンHVAC展2022」が開催されました。2月に東京ビックサイトで行われた日本冷凍空調工業会のHVAC展への出展をダイキン工業がコロナを理由に中止したことの代わりに開催したそうです。

2022年7月発売予定の「Saravia(サラビア)」が展示してありました。従来から「DESICA」という業務用の調室外気処理機がありましたが、それの家庭用といった感じです。
一般的に換気扇で換気する場合、例えば冷房時には外の暖かい空気が入ってきてしまい冷房効果を落としてしまいます。三菱の「ロスナイ」やダイキンの「ベンティエール」はそれを防ぐために外気と内気を熱交換して外の熱気を冷ましてから外の空気(OA)を室内に供給(SA)します。今回の「サラビア」はさらにヒートポンプを内蔵させ、温度調節をしてから外気を供給することが出来ます。ヒートポンプですから室外機があり、ドレンも出ます。
ただしこれだけでは冷暖房として不足ですので、各部屋のエアコンは別途つける必要があります。業務用の「DESICA」はそれほど普及しなかったようで、少し贅沢なこの「サラビア」がどこまで市場に評価されるでしょうか?
コロナ禍で換気に注目が集まる昨今ですが、ダイキン工業さんは率先して快適な空間づくりに努力されているようです。

【2022年7月発売予定のダイキン「Saravia」】
【2022年7月発売予定のダイキン「Saravia」】

国際短期大学のインターンシップ

投稿者:落合智貴
当社の近くにある国際短期大学とのインターンシップを始めて2年になります。
夏・冬に各2~3名の学生さんを受け入れています。
大学の単位の一環として行われるものですが、学生・当社の双方にとって意義のあるものにしていきたいと思って始めました。
4回目となる今回のインターンシップでは3月に3名の学生さんにそれぞれ5日間の職場体験をしていただきました。
初日は3名合同にて社内で配管材料の講義です。「管工機材の教科書」と当社の倉庫にある商品を見ていただきながら配管の概略を説明しました。午後にはTOTO新宿ショールームへ移動し、TOTO若手社員の方に社会人としての心構えや就職活動のアドバイスを頂くとともにショールームでお風呂・キッチン・トイレなどを見ていただきました。

【TOTO若手社員のお話を聞く学生のみなさん】
TOTOインターンシップ
2~4日目は一人ずつの職場体験です。伝票の整理、在庫発注作業、請求書のチェックなどの事務作業や、配送トラックの同乗を体験いただきます。
最終日の5日目は3名合同で決算棚卸を手伝っていただきました。
インターンシップに参加された学生さんはこの春就職活動が本格化します。
当社のような水道資材の卸売業は学生さんにとってはなじみの薄い業界だと思います。
今までにない体験が少しでも学生さんの役に立てればうれしいですね。

INAXライブミュージアム

投稿者:落合智貴
愛知県常滑市にある「INAXライブミュージアム」に行ってきました。
LIXIL常滑東工場の道路を挟んで向かい側にあります。
6つの建物で構成されており、一般700円で入場でき、予約をすれば焼き物などの体験もできます。INAXはトステムなどと合併して社名はLIXILになりましたが、トイレやタイルの世界ではINAXブランドはまだ根強いです。最近トイレ製品はINAXブランドを復活させていますね。土管・食器・タイル・便器などの歴史を見学し、焼き物の技術は生活に密着していることを実感しました。

1,窯のある広場・資料館
大正時代の土管を焼いた窯や煙突が保存されています。プロジェクションマッピングを使った映像で当時の窯焼きの様子などを実感できます。
イナックスミュージアム窯
2,世界のタイル博物館
紀元前から近代まで7000点を超える装飾タイルを収蔵しています。古い便器の展示コーナーでは古い和風便器や小便器などが展示してありました。
イナックスタイルミュージアム
イナックスミュージアム便器

3,建築陶器のはじまり館
大正から昭和初期に「建築陶器」と呼ばれる焼き物タイルが登場したそうです。これによって芸術性の高い建物が実現します。

4,土・どろんこ館
“光るどろだんごづくり“などの体験教室やワークショップを開催しています。

5,陶楽工房
モザイクアートやタイル絵付けなどの体験教室を開催しています。

6,やきもの工房
やきものの街で培った“ものづくり”の伝統や技術を、製品や資料を通して紹介しています。

ホーコスのステンレス製品

投稿者:落合智貴
グリーストラップの製造で有名なのがホーコスさんです。
建築設備機器部門」ではグリーストラップの他、グレーチング・フロアーハッチ・散水栓ボックス・ウエザーカバーなど様々なラインアップがあります。
このほか、「工作機械部門」、「産業機械部門」、「環境改善機器部門」、「鋳造部門」など幅広い製品を製造しています。
ホーコス消毒スタンド
ステンレス製品の加工はホーコスさんの得意分野の一つです。
先日当社の創立70周年のお祝い品として、コロナ対策として最近よく見かける手指消毒用のスタンドを頂きました。
足踏み式のステンレス製スタンドで衛生的です。
ご厚意に感謝して会社の入り口で使わせていただきます。
ホーコス様ありがとうございました!!
ホーコス祝70周年プレート2
【祝創立70周年のプレートも付けて下さいました】

オンダ製作所「Revos(レボス)」を在庫しました

投稿者:落合智貴
架橋ポリエチレン管用の継手として、当社ではオンダ製作所の「ダブルロックジョイント」、積水化学工業の「エスロカチット」、ポリブテン管用継手としてブリヂストンの「プッシュマスター」を在庫しています。
今回はオンダ製作所のダブルロックジョイントの中でもさらに管内流量が広くなった「Revos(レボス)」も在庫することにしました。
ダブルロックジョイントは元々、外面シール構造でしたので、内面シール構造のエスロカチットよりも管内流量は広かったのですが、レボスシリーズでラインアップされているエルボ・ソケット・チーズでは従来のダブルロックジョイントPよりもさらに流量が多くなります。
リフォーム現場などでは管の外径を大きくせずに水流量を確保できると大変好評です。
2019年度省エネ大賞 経済産業大臣賞も受賞しているそうです。
是非ご活用ください。
ご購入はコチラ 【設備ロジス.comでどなたでもご購入いただけます】