投稿者:落合智貴
全国管工機材商業連合会(略称:管機連)は東京を含む全国の管工機材商組合の上部団体にあたります。6月17日に年に一度の社員総会がグランドアーク半蔵門で開催されました。
私は社員総会の司会を10年以上担当してきましたが、今回、東京管工機材商業協同組合の理事長に就任したため、正式に管機連の理事に選任されました。
当日は3名の講師による講演が行われましたのでご報告します。
●宮川 元内閣官房補佐官
「貿易の自由化と中国の主張」
世界の貿易は、戦後GATTにより西側諸国の貿易活性化を図ってきたが、冷戦終結後はWTOにより貿易自由化の流れを東側や途上諸国に広げてきた。しかしWTOは「途上国」に優遇制度があり、中国やインド、カタールなど世界のGDP上位を占める国までも自己申告により「途上国」扱いとなっているため、貿易自由化の義務やCO2削減義務なども守る義務がないと主張することができてしまい、WTOは機能不全に陥っている。世界の貿易制度の再構築はゼロからスタートしなければならない。
●経済産業省 製造産業局 素材産業化 土屋課長
「素材産業の国際競争力強化とGXの実現に向けた政策動向」
素材産業は製造業全体の約2割を占め、自動車に次ぐ製造業第2位の規模。半導体の需要拡大に伴い、エチレンの国際市場規模が伸長している。GaN基板や黒鉛電極などの高機能材は、市場規模は小さいものの日本企業が高いシェアを持つものが少なくない。GX(グリーントランスフォーメーション)についてはGI基金(グリーンイノベーション基金)を設立し、“水素還元製鉄”や“ペロブスカイト太陽電池”“液化水素運搬船”“アンモニア専焼”“全個体型蓄電池”など、2050年のカーボンニュートラルに向けて2.8兆円を野心的な目標に取組む企業に支援している。
●国土交通省 水管理・国土保全局 水道事業課 名倉課長
「最近の水道行政について」
令和6年4月1日に水道事業が厚生労働省から国土交通省に移管され、下水道事業と一体組織となった。能登半島震災における断水の復旧は東日本大震災や熊本地震と比べて遅れている。日本全体で、法定耐用年数を超えた管路は22.1%に達しているが、小規模水道事業体は水道料金で費用がまかなえず約40%の事業体が原価割れ。全国の水道施設の更新費・修繕費は年1.3兆円ほどだが、将来30年においては1.8兆円必要。
【管機連の会長が橋本氏から大藪氏に交代】