コロナ、ウクライナ・・・そして円安

投稿者:落合智貴
ダイキン工業は2023年度中に有事に中国製部品がなくてもエアコンを生産できるサプライチェーンを構築するそうです。
日本はバブルの頃まで経済成長を続け、ドル円レートは360円から1995年には79円まで円高が進みました。バブル以降、日本の製造業は円高を背景に人件費の安い中国や東南アジアに製造拠点をシフトしていきました。

ダイキン
新型コロナが発生してからベトナムや上海のロックダウンの影響でウォシュレット、エアコン、給湯器、ポンプなど当社が扱う多くの製品が一時供給ストップとなりました。
コロナによるサプライチェーンの混乱、ウクライナ戦争による資源高、日米金利差による円安とメーカーが海外生産をするメリットがことごとくデメリットに転換していったのがこの3年間だったと思います。

バブル以降の日本は他国の成長を尻目に賃金が上がらず、人口減少も始まり、GDPは世界3位からの転落も視野に入ってきました。
今回のダイキン工業の動きは日本への製造拠点回帰という合理的な動きの典型例だと思います。サプライチェーンの安定化や内需・雇用の拡大など日本再興のきっかけになることを願います。

落合住宅機器の歴史を辿る【平成11年度(1999年度)】

投稿者:落合智貴
平成7年の社長就任から5年目となり、会社全体の業務を大方把握できるようにはなったのですが、バブル崩壊以降の厳しい不況にはあらがえずジリジリと売上を落としていきました。
バブルのピークに売上高12.5億円に達していた当社の売り上げは平成11年度には5.0億円、翌年の平成12年度には4.1億円でやっと底を打ちます。

PHSや携帯電話を所有する人が増えてきたのはこの頃です。また、パソコンを持つ人も増えてきました。
当社でもこの頃はキーボードやマウスを触ったことがない社員が多かったですね。
この頃はパソコンの2000年問題をきっかけにシステムの変更が求められていました。
在庫管理の必要性を感じていた私は販売管理ソフトの導入を決断し、この年にはいろんな販売管理ソフト会社の説明を聞き検討をしました。その結果大塚商会の「スマイル」を導入するに至りました。

社員の士気が一番下がっていたのがこの頃かもしれません。
売上が下がり、給料も下がる・・・・
会社の将来について不安を感じ、どうなってしまうんだろうと思っていた社員が多かったと思います。
売上の減少が続き、何の対策も取られなければ会社は潰れてしまいます。
この販売管理ソフトの導入は倒産を回避する、最後のギリギリのタイミングだったと今となっては思います。

メーカーに返品できない機器商品(いわゆるデットストック)をリスト化して情報共有すること。
「お得意様懇談会」と称し、展示会のバス動員と懇親会を数年ぶりに再開したこと。
これらもこの年に始めました。
小さな対策をひとつずつ積み重ねていく。
これしか生き残る道はなかったと思います。

【ホテルアミスタ阿佐ヶ谷での第一回お得意様懇談会】
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空き家問題を考える

投稿者:落合智貴
日本経済新聞によると2023年に日本の空き家は1000万戸に達するそうです。
日本の人口はすでに減少局面に入っていますが、世帯数はいまだに増え続けています。
しかしいよいよ世帯数も2023年に5419万戸でピークとなり減少が始まると予想されています。
建設業界に身を置く我々としては、新築着工戸数が増えることを期待して仕事をしてきましたが、もう新築は多くは必要ないということになりそうです。

空き家問題を考える
戸建ての空き家に関しては、死亡したのに名義が書き換えられてないケースがあります。相続人不明のまま放置されているケースや、分かっていても取り壊し費用を惜しんでそのままにしているケースなどがあると思われます。
マンションの場合も深刻です。所有者と連絡がつかず、修繕積立金が集められず、建替えに必要な5分の4の議決も得られないなどの経緯で建替えを決断できないまま管理不在で老朽化していくマンションも徐々に増えているようです。
築50年を建て替えの目安とすると、今から50年前の1972年より前に建てられたマンションよりもその後に建てられたマンションの方が圧倒的に多いです。すなわちこれから築50年を超えるマンションがどんどん増えていくということです。

これらの問題を解決するために議論されていることは、
1, 建替えに必要な議決を「5分の4」から「4分の3」や「3分の2」に引き下げる
2, 空き家を解体して更地にすると固定資産税が高くなることの是正
などです。
かつて日本の住宅事情は“ウサギ小屋”と揶揄されてきました。
しかしコロナ禍でテレワークが増えてきたことで都心ではなく郊外を選択する人も増えてきましたし、空き家をうまくスクラップ&ビルドしていけば一戸当たりの面積を広く作ることもできます。

設備や内装はかつてに比べて格段におしゃれになっています。
日本の住宅の付加価値を高めていくことも我々の役目ではないかと思います。

MMT理論を考える

投稿者:落合智貴
日本がデフレと言われるようになって25年ほどになるでしょうか。この間、中国や欧米では賃金上昇を成し遂げているにもかかわらず、日本は全く賃金が上がっていません。
政府の財政政策はプライマリーバランスが重要視されますが、その対極にあるのが“MMT理論(Modern Monetary Theory)”です。藤井聡著「MMTによる令和新経済論」(晶文社)ではMMT論者が経済理論を解説しています。

MMT理論
この著者は、MMT理論は財政規律を無視したトンデモ理論と評されることが多いが、これこそが日本経済再生のシナリオである、と述べています。
●貨幣(オカネ)とは納税に使える返済期限のない、国家の借用証書である。
●国債が存在している間だけ、その金額の貨幣がこの世に存在する。要するに国債がなくなれば貨幣も消えてなくなる。
●インフレ率を適正水準に調整することを目指すのがMMT理論。
●プライマリーバランスの黒字化目標は撤廃すべきである。
●デフレ脱却までは消費税は減税すべきである。
●「円の信認」は政府の徴税機能が崩壊したり、国民が納税義務をボイコットするなど「徴税を巡る国家体制」が失われたときに初めて失われる。国債の残高が増えすぎたり、円が増えすぎる事で「円の信認」が失われることは起こり得ない。
●財政支出は無駄遣いするのではなく、ワイズスペンディングとしてお金の使い道はいくらでもある。例えば①介護・医療供給量の強化 ②食料自給率の確保 ③資源・エネルギー自給率の向上と輸入価格の引き下げ ④物流・輸入コストの縮減 ⑤防災・強靭化 ⑥地方活性化 ⑦科学技術力の強化 ⑧防衛力の強化

結論としては、過剰なインフレやデフレを回避するために、インフレ率=物価上昇率が2%~4%程度に安定的に収まるように、新規国債の発行額、場合によっては消費税率を調整することを通して、毎年毎年政府の財政収支を調整していくことが必要であるということです。要するにインフレ目標に達するまでは国債をジャブジャブ発行した方が良いということです。
この理論が政府の中で主流になる気配はありませんが、この理論によるデメリットを私はあまり感じません。皆さんはどう思いますか?