製販懇談会 2022春(後半)

投稿者:落合智貴
4月20日に開催された東京管工機材商業協同組合の製販懇談会の後半のご報告です。
●荏原製作所
建設市場は緩やかに持ち直しの見込み。産業市場はコロナが落ち着けば企業の投資が回復する見通しだが原油高やサプライチェーンの混乱は懸念。公共市場は大きく減少することはなさそう。ポンプ需要はGDPに連動している。SDG’Sへの取り組みとしては安全な水を届ける事やCO2削減に貢献していきたい。2021年にインバーター一体型モータ搭載の「BN-MK型」を発売予定。
●ダイキン工業
ベトナムのロックダウンの影響で製品不足をお詫び。円安・原料値上げでコストアップが進んでいる。上海のロックダウンの影響も出てきている。社会情勢としては①カーボンニュートラル ②空気・換気に関するニーズの高まり ③エネルギーコストの上昇 があげられる。空調市場の動向としてはパッケージエアコンは2022年度104%の予想。業務用全熱交換器は105%。ルームエアコンは100%。エコキュートは110%を予想。
●TOTO
ウォシュレット・水栓金具の供給不足でご迷惑をかけた。ウォシュレットは少しずつ回復している。上海のロックダウンではバス換の供給に影響が出ている。2021年度はお家時間の増加で高付加価値商品が好調だった。システムバスでは「シンラ」、キッチンでは「ザ・クラッソ」など高価格帯商品が伸びた。ウォシュレットのオート開閉や洗面化粧台オクターブの自動水栓などタッチレスの需要も増えている。新商品4部位発売を予定。2022年10月に定価改定を予定。

TOTOオクターブ

パナソニックは覚醒するか?

投稿者:落合智貴
当社がパナソニックの代理店を返上してから14年になりますが、いまだに動向は気になっています。三菱電機や東芝などとともに、かつて日本の産業をけん引してきた企業群は大きくなりすぎたゆえの問題も多く抱えているように見えます。
今年2022年4月にパナソニックは持ち株会社体制に移行しました。目的は広がりすぎた事業を「専鋭化」していくことにあります。
パナソニックホールディングスの下に以下の会社がぶら下がる形になります。
●パナソニック(この中に社内分社5社)
●パナソニックオートモーティブシステムズ
●パナソニックエンターテインメント&コミュニケーション
●パナソニックハウジングソリューションズ
●パナソニックコネクト
●パナソニックインダストリー
●パナソニックエナジー
●パナソニックオペレーショナルエクセレンス

パナソニックの覚醒
日経BP社「パナソニックの覚醒」ではパナソニックコネクト社長の樋口泰行氏が会社改革の道のりを述べています。樋口氏は新卒で松下電器産業に入社したあと34歳で退職し、ボストンコンサルティンググループ、アップルコンピューター、日本ヒューレット・パッカード、ダイエー、日本マイクロソフトなど主に外資系の企業の経営に携わってきました。
樋口氏の加入以来5年、「カルチャー&マインド改革」「ビジネスモデル改革」「事業立地改革」の3階層で変革を進めてきました。パナソニックの持ち株会社化によってパナソニックコネクト社の経営は自由度が増すことになります。最近はパナソニックコネクト独自のテレビコマーシャルでヤマト運輸の物流システムや東京ドームの顔認証システムなど企業とのコラボレーションの実績をアピールしています。

日系企業はこの30年低迷を続けていますが、樋口氏によると外資には日本企業にはない厳しさがある。逆を言うと日系企業には甘さがあるということでしょう。しかし外資系の経営者から見ると日系企業には優秀な社員が多くいるということでした。ダイエーの再建に関わったときに感じたことが、現場の社員は頑張っているのに利益が出ないということだったそうです。
樋口氏は経営に大切なことは大きな絵(ビックピクチャー)を描くことだと言います。どこで戦うかを間違えると努力が報われない。目の前の問題を解決することも大事ですが、大きな目で俯瞰する事こそが経営者には大事だと学んだ一冊でした。

落合住宅機器の歴史を辿る【平成17年度(2005年度)】

投稿者:落合智貴
ライブドアのホリエモン社長が過激な発言で世間をにぎわしたのがこの頃です。
小泉政権の長期化で政治・経済共に比較的安定していたため、世の中全体が少し強気に出ていたんですね。
戦後最長のいざなぎ景気を超える勢いだと言われ、一時はデフレの脱却を期待する向きもありました。
今となってはリーマンショック前の”束の間の宴”だったと言えるかもしれません。
ホリエモン

この年の当社の目標は次の3つでした。
1、営業体制の分業化
新人が在庫発注を一人で担当する体制がようやく定着し、欠品が少なく安定的な在庫管理が出来るようになったのがこの頃です。営業担当者不在の場合にも業務担当者がきちんとフォローする体制を意識してきたのもこの頃からでした。各営業マンが、個人商店ではなく、組織的な動きができるようにしたい。そんなことを目指して努力していきました。

2、在庫配置の最適化・入荷品全品把握
倉庫の棚のラベル表示をきめ細かくするように推進しました。昔の当社は商品がどこにあるかはベテランでないと分からないといった状態でしたが、初めての社員やお客様でもすぐに分かるような表示を進めていきました。
入荷検品の体制なども整え、お引取予定の商品がどこのお客様宛の商品かを明示するなど工夫をしました。
仕入れたのに売上が計上されていない商品はないか?などを追及するためのチェック体制を整えました。

3、全部門黒字化の達成
当社は営業・工事・物流管理の3部門が収益を生み出していますが、全ての部門の損益計算書をつくり問題点を明確にしていきました。特に当時は物流部門が赤字体質であり、配送件数の増加を目標に意識改革を進めていきました。今では物流管理部も黒字が普通になってきましたが、この頃の努力が実ってきたのかなと思います。

今振り返ってみますと、当時の売上高上位10社のうち、なんと5社のお客様がその後倒産しています。「金儲け」はしたいですが、良い時ほど気を引き締めなければいけないというのが教訓ですね。

製販懇談会 2022春(前半)

投稿者:落合智貴
東京管工機材商業協同組合の恒例の製販懇談会が明治記念館で4月20日に開催されました。
メーカー様7社の発表のうち前半4社の内容をご報告いたします。

●ベンカン
ステンレスの原料となるニッケルはロシア産が10%。一時SUパイプの生産を中止したが現在は再開している。ただし価格は10~15%値上げ。中国のロックダウンの影響で継手の材料も不足している。給湯温度が高くなるケースが多くなり、拡管式のBKジョイントⅡは100℃まで使用可能になった。
●積水化学工業
建設業従事者は20代が11%しかおらず減少傾向で労務費が上がっている。もっとカッコいいと思われる仕事にしなければならない。建設投資は5.5%増。国産ナフサはこの二年で2倍に上がっており、原料メーカーはこの一年で4回値上げをした。中国・インド・北米・南米などで塩ビの需要は拡大しており、内外価格差がますます拡大の傾向。ウクライナ情勢によりさらに騰勢が強まりそう。
●フネンアクロス
昨年、エーアンドエーマテリアルとバクマ工業が相次いで耐火二層管事業から撤退した。残るはフネンアクロスと昭和電工建材(ケイプラ)のみとなった。耐火二層管が発売されて50年。ピークは発売から22年のバブルの頃。平成12年に法改正がありメジ付き継手になった。
●大和バルブ
日本バルブ工業会は正会員113社。品種別では給排水栓類22.2%、自動調整・調節弁31.5%、ステンレス弁が24.5%。部門別では建築設備用56.5%、上下水道用12.2%。バルブ産業が影響を受ける外部要因としては「カーボンニュートラル」と「デジタルトランスフォーメーション(DX)」があげられる。バルブ業界のDXとしてはアズビル社からDx Valve Cloud Serviceが販売されており、バルブの稼働状況をクラウドサービスで解析するもの。 

製販懇談会2022春

ダイキンHVAC展2022

投稿者:落合智貴
令和4年4月19日~21日に新宿NSビルで「ダイキンHVAC展2022」が開催されました。2月に東京ビックサイトで行われた日本冷凍空調工業会のHVAC展への出展をダイキン工業がコロナを理由に中止したことの代わりに開催したそうです。

2022年7月発売予定の「Saravia(サラビア)」が展示してありました。従来から「DESICA」という業務用の調室外気処理機がありましたが、それの家庭用といった感じです。
一般的に換気扇で換気する場合、例えば冷房時には外の暖かい空気が入ってきてしまい冷房効果を落としてしまいます。三菱の「ロスナイ」やダイキンの「ベンティエール」はそれを防ぐために外気と内気を熱交換して外の熱気を冷ましてから外の空気(OA)を室内に供給(SA)します。今回の「サラビア」はさらにヒートポンプを内蔵させ、温度調節をしてから外気を供給することが出来ます。ヒートポンプですから室外機があり、ドレンも出ます。
ただしこれだけでは冷暖房として不足ですので、各部屋のエアコンは別途つける必要があります。業務用の「DESICA」はそれほど普及しなかったようで、少し贅沢なこの「サラビア」がどこまで市場に評価されるでしょうか?
コロナ禍で換気に注目が集まる昨今ですが、ダイキン工業さんは率先して快適な空間づくりに努力されているようです。

【2022年7月発売予定のダイキン「Saravia」】
【2022年7月発売予定のダイキン「Saravia」】